会社が役員に自宅用の土地を賃貸する場合の賃貸料は?

法人税法

会社が所有している土地を、代表や取締役に賃貸するケースがあります。

法人税法では、役員や従業員などに対して、通常の取引よりも安価に物品やサービスなどを提供した場合は、通常の金額と実際の金額の差額を経済的利益として計上するように求めています。

それでは、今回の通常の金額(賃貸料)は、どのように計算すればよいのでしょうか?

「相当の地代」が通常の賃借料となる

所得税法において、経済的な利益も収入金額としなければならないと規定されています。

所得税法 第36条第1項

その年分の各種所得の金額の計算上収入金額とすべき金額又は総収入金額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、その年において収入すべき金額(金銭以外の物又は権利その他経済的な利益をもつて収入する場合には、その金銭以外の物又は権利その他経済的な利益の価額)とする。

2 前項の金銭以外の物又は権利その他経済的な利益の価額は、当該物若しくは権利を取得し、又は当該利益を享受する時における価額とする。

所得税法施行令 第84条の2

法人又は個人の事業の用に供する資産を専属的に利用することにより個人が受ける経済的利益の額は、その資産の利用につき通常支払うべき使用料その他その利用の対価に相当する額(その利用者がその利用の対価として支出する金額があるときは、これを控除した額)とする。

所得税法基本通達において、通常の賃借料の計算方法を定めています。

所得税基本通達46-40

(役員に貸与した住宅等に係る通常の賃貸料の額の計算)

使用者(国、地方公共団体その他これらに準ずる法人(以下36-45においてこれらを「公共法人等」という。)を除く。以下36-44までにおいて同じ。)がその役員に対して貸与した住宅等(当該役員の居住の用に供する家屋又はその敷地の用に供する土地若しくは土地の上に存する権利をいう。以下36-44までにおいて同じ。)に係る通常の賃貸料の額(月額をいう。以下36-48までにおいて同じ。)は、次に掲げる算式により計算した金額(使用者が他から借り受けて貸与した住宅等で当該使用者の支払う賃借料の額の50%に相当する金額が当該算式により計算した金額を超えるものについては、その50%に相当する金額)とする。ただし、36-41に定める住宅等については、この限りでない。

(注)

1 家屋だけ又は敷地だけを貸与した場合には、その家屋だけ又は敷地だけについて上記の取扱いを適用する。

2 上記の算式中「木造家屋以外の家屋」とは、耐用年数省令別表第1に規定する耐用年数が30年を超える住宅用の建物をいい、木造家屋とは、当該耐用年数が30年以下の住宅用の建物をいう(以下36-41において同じ。)。

所得税基本通達36-41

(小規模住宅等に係る通常の賃貸料の額の計算)

36-40の住宅等のうち、その貸与した家屋の床面積(2以上の世帯を収容する構造の家屋については、1世帯として使用する部分の床面積。以下この項において同じ。)が132平方メ-トル(木造家屋以外の家屋については99平方メ-トル)以下であるものに係る通常の賃貸料の額は、36-40にかかわらず、次に掲げる算式により計算した金額とする。

(注) 敷地だけを貸与した場合には、この取扱いは適用しないことに留意する。

所得税基本通達36-42

(通常の賃貸料の額の計算に関する細目)

36-40又は36-41により通常の賃貸料の額を計算するに当たり、次に掲げる場合には、それぞれ次による。

(1) 例えば、その貸与した家屋が1棟の建物の一部である場合又はその貸与した敷地が1筆の土地の一部である場合のように、固定資産税の課税標準額がその貸与した家屋又は敷地以外の部分を含めて決定されている場合 当該課税標準額(36-41により計算する場合にあっては、当該課税標準額及び当該建物の全部の床面積)を基として求めた通常の賃貸料の額をその建物又は土地の状況に応じて合理的にあん分するなどにより、その貸与した家屋又は敷地に対応する通常の賃貸料の額を計算する。

(2) その住宅等の固定資産税の課税標準額が改訂された場合 その改訂後の課税標準額に係る固定資産税の第1期の納期限の属する月の翌月分から、その改訂後の課税標準額を基として計算する。

(3) その住宅等が年の中途で新築された家屋のように固定資産税の課税標準額が定められていないものである場合 当該住宅等と状況の類似する住宅等に係る固定資産税の課税標準額に比準する価額を基として計算する。

(4) その住宅等が月の中途で役員の居住の用に供されたものである場合 その居住の用に供された日の属する月の翌月分から、役員に対して貸与した住宅等としての通常の賃貸料の額を計算する。

ただし、「無償返還の届出」がある場合は、取り扱いが異なります。

所得税基本通達36-45の2

(無償返還の届出がある場合の通常の賃貸料の額)

使用者が役員等に対しこれらの者の居住の用に供する家屋の敷地を貸与した場合において、法人税基本通達13-1-7の規定により当該敷地を将来当該役員等が無償で返還することとしているときは、その土地に係る通常の賃貸料の額は、36-40、36-41、36-43及び36-45にかかわらず、法人税基本通達13-1-2に定める相当の地代の額とする。(昭63直法6-7、直所3-8追加)

つまり、法人税基本通達13-1-7の規定により、「無償返還の届出」を提出している場合は、法人税基本通達13-1-2に定める相当の地代が「通常の賃借料」ということになります。

法人税基本通達13-1-2

(使用の対価としての相当の地代)

法人が借地権の設定等(借地権又は地役権の設定により土地を使用させ、又は借地権の転貸その他他人に借地権に係る土地を使用させる行為をいう。以下この章において同じ。)により他人に土地を使用させた場合において、これにより収受する地代の額が当該土地の更地価額(権利金を収受しているとき又は特別の経済的な利益の額があるときは、これらの金額を控除した金額)に対しておおむね年8%程度のものであるときは、その地代は令第137条《土地の使用に伴う対価についての所得の計算》に規定する相当の地代に該当するものとする。(昭55年直法2-15「三十一」、平3年課法2-4「十一」、平19年課法2-3「三十七」、平23年課法2-17「二十七」により改正)

(注)

1 「土地の更地価額」は、その借地権の設定等の時における当該土地の更地としての通常の取引価額をいうのであるが、この取扱いの適用上は、課税上弊害がない限り、当該土地につきその近傍類地の公示価格等(地価公示法第8条《不動産鑑定士の土地についての鑑定評価の準則》に規定する公示価格又は国土利用計画法施行令第9条第1項《基準地の標準価格》に規定する標準価格をいう。)から合理的に算定した価額又は昭和39年4月25日付直資56直審(資)17「財産評価基本通達」第2章《土地及び土地の上に存する権利》の例により計算した価額によることができるものとする。この場合において、本文の括弧書により土地の更地価額から控除すべき金額があるときは、当該金額は、次の算式により計算した金額によるものとする。

その権利金又は特別の経済的な利益の額×(当該算定し、又は計算した価額÷当該土地の更地としての通常の取引価額)

2 借地権の転貸の場合には、「土地の更地価額」とあるのは「借地権の価額」と、「当該土地の更地としての通常の取引価額」とあるのは「当該借地権の通常の取引価額」と、それぞれ読み替えるものとする。

法人税基本通達13-1-7

(権利金の認定見合せ)

法人が借地権の設定等により他人に土地を使用させた場合(権利金を収受した場合又は特別の経済的な利益を受けた場合を除く。)において、これにより収受する地代の額が13-1-2に定める相当の地代の額に満たないとき(13-1-5の取扱いの適用があるときを除く。)であっても、その借地権の設定等に係る契約書において将来借地人等がその土地を無償で返還することが定められており、かつ、その旨を借地人等との連名の書面により遅滞なく当該法人の納税地の所轄税務署長(国税局の調査課所管法人にあっては、所轄国税局長。以下13-1-14までにおいて同じ。)に届け出たときは、13-1-3にかかわらず、当該借地権の設定等をした日の属する事業年度以後の各事業年度において、13-1-2に準じて計算した相当の地代の額から実際に収受している地代の額を控除した金額に相当する金額を借地人等に対して贈与したものとして取り扱うものとする。
 使用貸借契約により他人に土地を使用させた場合(13-1-5の取扱いの適用がある場合を除く。)についても、同様とする。(昭55年直法2-15「三十一」により追加、平15年課法2-7「四十八」により改正)

(注)

1 本文の取扱いを適用する場合における相当の地代の額は、おおむね3年以下の期間ごとにその見直しを行うものとする。この場合において、13-1-2の(注)1中「借地権の設定等の時」とあるのは「当該事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当する場合には、当該連結事業年度)開始の時」と読み替えるものとする。
2 当該法人が連結納税基本通達16-1-7《権利金の認定見合せ》の取扱いによる届出を行っていた場合についても、本通達の適用がある。

「無償返還の届出」を提出した場合の「更地価格の8%」は、個別通達で6%となっています。

法人税の借地権課税における相当の地代の取扱いについて

平成元年3月30日直法2-2
平成3年12月25日課法2-4(例規)により改正

標題のことについては、当分の間、下記によることとしたから、今後処理するものからこれによられたい。

(趣旨)
最近における地価の異常な高騰にかんがみ、借地権課税における相当の地代について、その実情に即した取扱いを定めるものである。

 法人税基本通達13-1-2((使用の対価としての相当の地代))に定める「年8%」は「年6%」と、「昭和39年4月25日付直資56・直審(資)17『財産評価基本通達』第2章((土地及び土地の上に存する権利))の例により計算した価額」は「昭和39年4月25日付直資56・直審(資)17『財産評価基本通達』第2章((土地及び土地の上に存する権利))の例により計算した価額若しくは当該価額の過去3年間における平均額」とする。(平成3年課法2-4により改正)

(注) 「過去3年間」とは、借地権を設定し、又は地代を改訂する年以前3年間をいう。

借地権課税を免れるために、「無償返還の届出」を提出するのはいいですが、更地価格の6%は相当な金額となります。

かといって、所得税基本通達の金額といえば、相当低い金額となりますので、個人的には所得税基本通達の金額と相場の金額との間で、会社と役員が納得いく金額にすべきでしょう。

 

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税務会計のミチシルベ

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