相続が発生した場合の収入や経費の計算は日割りが必要?

個人で不動産賃貸を行っている人も多いでしょう。

ところで、個人で不動産賃貸業を営んでいた個人事業主が死亡した場合、亡くなった月の収入や必要経費については、日割り計算をしなければならないのでしょうか?

キーワードは所得税基本通達36-5と37-2であす。

収入や必要経費については、日割り計算の必要なし

所得税基本通達では下記のような定めがあります。

所得税基本通達36-5

(不動産所得の総収入金額の収入すべき時期)

36-5 不動産所得の総収入金額の収入すべき時期は、別段の定めのある場合を除き、それぞれ次に掲げる日によるものとする。

(1) 契約又は慣習により支払日が定められているものについてはその支払日、支払日が定められていないものについてはその支払を受けた日(請求があったときに支払うべきものとされているものについては、その請求の日)

(2) 賃貸借契約の存否の係争等(未払賃貸料の請求に関する係争を除く。)に係る判決、和解等により不動産の所有者等が受けることとなった既往の期間に対応する賃貸料相当額(賃貸料相当額として供託されていたもののほか、供託されていなかったもの及び遅延利息その他の損害賠償金を含む。)については、その判決、和解等のあった日。ただし、賃貸料の額に関する係争の場合において、賃貸料の弁済のため供託された金額については、(1)に掲げる日

(注)

1 当該賃貸料相当額の計算の基礎とされた期間が3年以上である場合には、当該賃貸料相当額に係る所得は、臨時所得に該当する(2-37参照)。

2 業務を営む賃借人が賃借料の弁済のため供託した金額は、当該賃借料に係る(1)に掲げる日の属する年分の当該業務に係る所得の金額の計算上必要経費に算入することに留意する。

つまり、特殊な場合を除いては、通常、不動産所得の総収入金額の計上時期は、下記の3つということです。

・契約又は慣行により支払日が決められているものについては、その支払日

・支払日が決められていないものについては、その支払いを受けた日

・請求があったときに支払うべきものは請求のあった日

本来であれば、会計上は実現主義により契約期間に対応する収入を計上すべきなのですが、所得税においては収入の計上時期について、通達でゆるくしているわけです。

それでは、経費についてはどうなるかというと、本来であれば収益と費用は対応させなければなりません(所得税法第37条)が、通達で下記のように定められています。

所得税基本通達37-2

(必要経費に算入すべき費用の債務確定の判定)

37-2 法第37条の規定によりその年分の不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額又は雑所得の金額の計算上必要経費に算入すべき償却費以外の費用で、その年において債務が確定しているものとは、別段の定めがあるものを除き、次に掲げる要件の全てに該当するものとする。(昭55直所3-19、直法6-8、昭57直所3-1、平23課個2-33、課法9-9、課審4-46改正)

(1) その年12月31日(年の中途において死亡し又は出国をした場合には、その死亡又は出国の時。以下この項において同じ。)までに当該費用に係る債務が成立していること。

(2) その年12月31日までに当該債務に基づいて具体的な給付をすべき原因となる事実が発生していること。

(3) その年12月31日までにその金額を合理的に算定することができるものであること。

所得税法第37条

(必要経費)

第三十七条 その年分の不動産所得の金額、事業所得の金額又は雑所得の金額(事業所得の金額及び雑所得の金額のうち山林の伐採又は譲渡に係るもの並びに雑所得の金額のうち第三十五条第三項(公的年金等の定義)に規定する公的年金等に係るものを除く。)の計算上必要経費に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、これらの所得の総収入金額に係る売上原価その他当該総収入金額を得るため直接に要した費用の額及びその年における販売費、一般管理費その他これらの所得を生ずべき業務について生じた費用(償却費以外の費用でその年において債務の確定しないものを除く。)の額とする。

不動産の収入時期は、月末までに翌月分の支払いが契約で定められている場合は、月末に入金があった分までが計上すべき家賃収入ということになります。

経費に関しては、修繕などを実施していて、支払がまだの場合は計上できますし、固定資産税についても賦課時期(5月)を経過していれば全額を経費計上可能です。

詳しくは、身近のいる税理士などにお尋ねください。