マスク購入費用は経費?貯蔵品?
新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、ドラッグストアをはじめ色々な店舗でマスクや消毒液の品薄状態が続いていて、なかなか手に入れることが出来ない人がいるのも事実。
ただ、上記は事態は2020年5月初旬の頃の状況で、5月中旬ぐらいになるとマスクが供給過多となり、たたき売りが始まっているようです。
このような状況の中、企業によっては、事前にコロナウィルスの拡大を予測して、マスク等をまとめ買いして備蓄していたところあるようです。
ところで、マスク購入費用は会計上経費で処理できるのか、それとも貯蔵品として棚卸資産として計上すべきなのか判断が分かれるのではないでしょうか?
マスク購入費用は経費処理可能
マスクや消毒剤などといった消耗品の購入費用については,消耗品であるこれらの物品を使用(消費)した事業年度で損金算入することが原則的な取扱いとなります。
事業年度末時点での未使用分については損金算入は認められず,在庫として計上しなければなりません。
法人税法 第2条
この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
二十 棚卸資産 商品、製品、半製品、仕掛品、原材料その他の資産で棚卸しをすべきものとして政令で定めるもの(有価証券及び第六十一条第一項(短期売買商品等の譲渡損益及び時価評価損益)に規定する短期売買商品等を除く。)をいう。
法人税法施行令 第10条
法第二条第二十号(棚卸資産の意義)に規定する政令で定める資産は、次に掲げる資産とする。
一 商品又は製品(副産物及び作業くずを含む。)
二 半製品
三 仕掛品(半成工事を含む。)
四 主要原材料
五 補助原材料
六 消耗品で貯蔵中のもの
七 前各号に掲げる資産に準ずるもの
しかし,上記はあくまでも原則的な取扱いであり、企業が新型コロナウイルス感染症の感染を防止するために購入したマスクや消毒剤の費用は、未使用分の備蓄部分の費用を購入時に一括で損金算入して問題ありません。
根拠となるのが非常用食料品の取扱いです。
国税庁では、非常用食料品の購入費用を備蓄(購入)時に“使用”したものとして、購入時に一括で損金算入できることを示しています。
新型コロナウイルス感染症拡大に備えて購入したマスク・消毒液等の費用は、災害に備えて購入した非常用食料品の費用と同じようものです。
したがって、非常用食料品の取扱いと同じように、購入時に一時の損金として処理しても問題ないと考えます。
参考までに、消耗品等のうち「毎年おおむね一定数量を購入し,かつ,経常的に消費するもの」については、継続適用することを要件に購入した事業年度に一括で損金算入することも可能となっています。
法人税基本通達 2-2-15
(消耗品費等)
消耗品その他これに準ずる棚卸資産の取得に要した費用の額は、当該棚卸資産を消費した日の属する事業年度の損金の額に算入するのであるが、法人が事務用消耗品、作業用消耗品、包装材料、広告宣伝用印刷物、見本品その他これらに準ずる棚卸資産(各事業年度ごとにおおむね一定数量を取得し、かつ、経常的に消費するものに限る。)の取得に要した費用の額を継続してその取得をした日の属する事業年度の損金の額に算入している場合には、これを認める。(昭55年直法2-8「七」により追加)
(注) この取扱いにより損金の額に算入する金額が製品の製造等のために要する費用としての性質を有する場合には、当該金額は製造原価に算入するのであるから留意する。