社内コンテストにおける賞金の課税関係

2018年10月11日

社員のモチベーションアップを図る目的で、工場で掲示する安全標語や社内報に掲載する俳句、写真といった作品の社内コンテストを実施している会社もあることでしょう。

この社内コンテストで入選者に対して会社が賞金を出すこともあるでしょうが、社員が受け取る賞金の課税関係はどうなっているのでしょうか?

社内コンテストにおける賞金の課税関係

社員が受け取るものなので給与になるのでは?と考える人も多いでしょうが、実は実態に応じで一時所得か雑所得に該当することになります。

全従業員を対象に社内報に掲載するための詩や俳句、写真などのいわゆる趣味的なものをジャンルに関係なく公募し、コンテストを行ったような場合は一時所得となります。理由として所得税法における懸賞の入賞金に該当します。一時所得に該当すると50万円の特別控除があるので、高額な賞金でなければ申告義務も発生しません。

これに対して、全従業員に対して社内コンテストであっても、標語や社歌に対する賞金は原稿の報酬に該当し、雑所得になります。標語や社歌の場合、内容が限定され、役務提供による対価としての性格が強いです。会社が賞金を支給する場合、5万円を超えれば源泉徴収義務が発生します。

賞金の課税に関する条例

所得税法基本通達204-10

(懸賞応募作品の入選者に支払う少額な報酬又は料金)
法第204条第1項第1号に掲げる報酬又は料金のうち次のいずれかに該当するもので、同一人に対して1回に支払うべき金額が少額(おおむね5万円以下)のものについては、源泉徴収をしなくて差し支えない。

(1) 懸賞応募作品等の入選者に支払う賞金等

(2) 新聞、雑誌等の読者投稿欄への投稿者又はニュース写真等の提供者に支払う謝金等(あらかじめその投稿又は提供を委嘱した者にその対価として支払うものを除く。)

(3) ラジオ又はテレビジョン放送の聴視者番組への投稿者又はニュース写真等の提供者に支払う謝金等(あらかじめその投稿又は提供を委嘱した者にその対価として支払うものを除く。)

賞金をもらった場合の注意点

賞金を受け取った社員は、給与以外に所得がなければ賞金が20万円以下であれば所得税の申告義務はありません。ただし、住民税にはそういう規定がないので、本来であれば申告しなければならないことを認識しておいてください。つまり、1円でも給与以外に所得があるなら住民税の申告義務があるのです。

それから、社内コンテストで会社が賞金として支出した費用については、全額福利厚生費として損金経理して問題ありません。