農林水産業(食用)のみなし仕入率の改正 2019年10月~

売上が5,000万円以下の事業者は消費税の簡易課税制度が選択可能です。

簡易課税制度は、売上が少ない事業者に対して煩雑な事務負担の軽減を図るために設けられている制度です。

2019年10月から飲食料品に対して軽減税率が導入されました。

軽減税率の対象となるのは、食品表示法に規定する食品と週2回以上発行される定期購買の新聞です。

食料品については、売り手側が食用として販売する物が軽減税率の対象となります。

軽減税率の導入に合わせて消費税簡易課税制度のみなし仕入率の改正も行われました。

農林水産業(食用)のみなし仕入率 70→80%へ

軽減税率導入前は農林水産業(食用)のみなし仕入率は70%でした。

2019年10月からは農林水産業(食用)のみなし仕入率は80%に改正されました。

この改正は、売上の消費税が8%で計算されるのに対し、実際の仕入が10%で計算されることに対するものです。

2019年9月まで

   売上500万円(税抜) 仕入350万円(税抜) と仮定

   売上高500万円に対する消費税=500万円×8%=40万円

   消費税納付額=額40万円-40万円×70%=12万円

   実際の仕入の消費税=350万円×8%=28万円

2019年10月以降にみなし仕入率が70%だと・・・・・

   売上高500万円に対する消費税=500万円×8%=40万円

   消費税納付額=額40万円-40万円×70%=12万円

   実際の仕入の消費税=350万円×10%=35万円

つまり、上記の例を見ると、みなし仕入率がそのままだと納付する消費税は変わらないものの、実際の仕入の消費税が増えてしまい、実質、消費税の負担額7万円が増えてしまうわけです。

そこで、みなし仕入率を70→80%にすることで・・・・・

   消費税額500万円×8%-500万円×8%×80%=8万円

これで、消費税を納める金額が12万円-8万円=4万円減る形になりますが、負担が増えることには変わりません。

消費税の簡易課税制度を適用している事業者は、おそらく消費税の納付額が増えることになるので、経営状況も若干悪化するかもしれませんね。

原則課税が良いか簡易課税が良いか、しっかり見極める必要がありますね。